袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会 2月5日例会

『“徹底討論”警察のねつ造を暴く!』に参加して
         鈴木 武秀(袴田事件の報道を収集し配布する会 世話人)

大勢の参加者が集まり、小川秀世弁護士と議論をたたかわせた。 支援者の熱気に小川弁護士も実に満足そう?

支援者が弁護士の主張に真っ向反論!?

 1月末、袴田事件の地元、静岡市清水において活動する清水・静岡市民の会の会報『無実』第8号が送られてきた。発足以来着実な活動を展開している同会には常々感心させられていたが、次回(2月5日)例会のテーマを見て、目が釘付けとなった。
 『警察はいつ、どんな方法で5点の衣類をねつ造したのか!小川秀世氏と徹底討論です!』。
 小川氏とは、袴田事件弁護団の小川秀世弁護士。1997年6月に東京高裁に提出された即時抗告理由補充書三(5点の衣類のねつ造主体が警察であると主張)の中心執筆者に対し、支援者が批判的見地に立って論戦を挑もうというのだ。
 即時抗告審において東京高裁は、5点の衣類は警察のねつ造との弁護団の主張を根拠のないものと決め付け、一方的に退けた。突きつけられた疑問に真摯に取り組もうとしない裁判官の態度は大いに非難されるべきだが、弁護団の方にも主張し足りない点がなかったのか?それを支援者ともども検証しようというのである。
 私はこのテーマに非常に興味を持った。そして当日、会場に赴くことにした。

地元市民のエネルギーを実感!

 会場に到着すると辻・江尻公民館会議室は約25名の参加者で満席状態だった。今回の斬新なテーマは地元支援者の関心を集めるのに十分なものであったようだ。
 そして私がまず驚いたのは、充実した資料の山だった。討論の基本資料である補充書三はもちろんのこと、事件の深部に精通していない初心者も議論にスムースに参加できるよう、弁護団の主張と高裁判決の争点表などが多数準備されていた。主催者にたずねると、今回の議論を成功させるために事務局の市木里恵さんが短期間でまとめられたとのこと。市木さん自身は「自分は活動歴が浅いので…」と謙遜していたが、どうしてどうして。当日は司会進行も担当するなど、大活躍されていた。

支援者の意見に小川弁護士がたじろぐ場面も…

 そうした主催者の労が功を奏し、議論は実に白熱した。これまでは袴田さんの無実を信じ、手を携えてきた小川弁護士と支援者らが、互いの主張をぶつけ合う。

 「ねつ造が存在したとしても、警察が主体とまでは断言できないのではないか?」という指摘に対して小川弁護士は、「事件後1年以上経過した時点で、5点の衣類をねつ造する動機があるのは警察だけだった。袴田さんと5点の衣類のズボンとを結びつける唯一の物証である共布の発見過程も、きわめて不自然であった」と反論。
 さらに「警察のねつ造を裁判所に訴えることが、果たして有効な手段なのか?」との問いには、「われわれが合理的な疑いをきちんと示せれば、裁判所は再審を開始せざるを得ない」と答えた。

 これまでならここで支援者は「なるほど!」と一同納得して終わりなのだが、今回はそうはいかない。少しでも意見が停滞すると、参加者の中から「もっと小川弁護士を追い詰めないと、裁判では勝てないよっ!」との叱咤の声があがる。したがって自説に確固たる信念を持つ小川弁護士がたじろぐ場面、返事に窮する場面もしばしば。妥協なき議論に、予定されていた4時間はあっという間に過ぎてしまった。
 いやあ、本当に充実した4時間だった。そして清水まで来た甲斐があった。袴田さんの無実を信じる地元市民の、特別抗告審こそよい結果を勝ち取るという強い意志があるからこそ実現した、実に濃密な時間であった。

東京でも「真剣な議論の場」を実現させたい

 論戦が終わればもちろんノーサイド。会場近くの中華料理店で懇親を深め合った。
 小川弁護士も支援者らも、充実した会議に満足の様子。清水・静岡市民の会の楳田民夫代表、山崎俊樹事務局長とも、今回の企画には十分手ごたえを感じたようで、第二弾、第三弾と継続していきたいと語っていた。

 最高裁での特別抗告審も厳しいものが予想される。袴田さんの健康状態や年齢を考えても、ここ数年がたたかいの正念場といっていいと思う。
 今日体験した「真剣な議論の場」を東京地区でもぜひ実現し、再審開始の弾みを作りたい。
 そんな思いを胸に、清水を後にした。

清水・静岡市民の会の楳田民夫代表 清水・静岡市民の会の山崎俊樹事務局長