“見えない手錠をはずして…”
『ザ・スクープスペシャル』(2月13日 テレビ朝日系)鑑賞記
鈴木 武秀(袴田事件の報道を収集し配布する会 世話人)
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くだらないバラエティ番組ばかりが幅を利かせ、硬派の番組がどんどん減少している日本のテレビ界。テレビ朝日系『ザ・スクープ』も、2002年にレギュラーが打ち切られ、年数回の放映に大幅削減されてしまい、大変残念に思っていた。
しかしこの度、その『ザ・スクープスペシャル』が、「日本におけるえん罪の構図を検証する」と題して、1963年に起きた狭山事件と、2003年に鹿児島で起きた選挙買収事件を全国ネットで放映した。司法界の最近の反動傾向を憂慮するひとりとして、こうした番組を日曜日の昼という時間帯に放映した局の姿勢に拍手したい。
番組前半のテーマは狭山事件。今から40年以上も前、吉展ちゃん誘拐事件での犯人取り逃がしなど、数々の失態をマスコミにたたかれ続けていた警察が、なりふりかまわず犯人逮捕に突き進んだ結果起こった、著名な"えん罪事件"である。
長年の法廷での争いで、犯人とされた石川一雄さんの無実を示す新証拠が多く提出されてきながら、検察擁護のための半ば開き直りとも思える裁判官たちの判断に、再審の門を閉ざされてきた。
現在は最高裁で特別抗告審が争われているが、今回弁護団は、石川さんが素手で扱った脅迫状から指紋が検出されないことや、脅迫状の消された文字が万年筆であることから、犯行前に万年筆を持っていなかった石川さんは犯人ではありえないといった、強力な新証拠を提出している。
今年の春にも最高裁は判断を下すことが予想されている。長年にわたる石川さんへの不当な扱いを是正し、再審を開始することが、司法界にとって唯一の威信回復の道であることを肝に銘じてほしい。
それにしても…。「別件逮捕」「拘留延長の繰り返し」「自白の強要」「証拠ねつ造」等々。
人権無視のこうした捜査のあり方が、数々のえん罪を生んできたことは何十年も前から言われ続けてきたのに、事態はむしろ悪化しているようにさえ感じる。番組後半では、つい数年前に鹿児島で起こった凄まじい警察の違法捜査が
浮き彫りにされている。
番組HP( http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/)において全編が視聴可能なので、TV放映を見逃した方はぜひアクセスしてほしい。